高齢者の病気に対する理解と機能訓練で行う予防ケア

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【通所介護・デイサービス】

高齢になると、さまざまな病気にかかりやすくなったり、怪我をしやすくなったりして、それらをきっかけに介護が必要になることが多くあります。
本ページでは、介護が必要となる原因である高齢者がかかりやすい病気やケアの際に気をつける点等をご紹介します。

介護が必要になる主な原因

介護が必要となる原因はさまざまですが、特に多い原因が以下になります。

第1位 認知症 17.6%
第2位 脳血管疾患(脳卒中) 16.1%
第3位 高齢による衰弱(筋力の衰え、歩行速度や活動量の低下、体重の減少等) 12.8%

出典:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」

上記の他にも関節疾患や骨折・転倒等が原因として挙げられています。
これらからわかるように、発症すると後遺症が残りやすく、症状が重いと寝たきりになることもある病気や加齢による心身機能の低下から起こりうる怪我等、高齢者特有の原因となっています。

高齢者がかかりやすい病気

<認知症>
認知症とは、脳の変性疾患や脳血管障害により記憶や思考などの認知機能が低下し、記憶力や判断力に障害が起こり、日常生活に支障をきたしている状態のことです。
主な原因疾患はアルツハイマー病が一番多く、脳梗塞や脳出血等の脳血管障害によって起こる脳血管性認知症も多くみられます。
認知症の典型的な症状の1つとして挙げられるのが「記憶障害」です。もの忘れとの違いを区別するには、以下のポイントに気をつけましょう。
● 認知症の場合

  • 「自分の家を忘れる」「大事な仕事等の約束を忘れる」「ご飯を食べたこと自体を忘れる」等、
    日常生活に支障をきたすような内容や出来事そのものを忘れる。
  • 忘れたこと自体に気づかない。
  • 新しいことが覚えられない。
  • 暴言や暴力がみられたり、気力がなくなる等の性格や人格の変化や妄想がみられることがある。

● もの忘れの場合

  • 「昨晩何を食べたのか忘れた」「テレビで見た有名人の名前が思い出せない」等、
    部分的な内容を思い出せないことが多く、日常生活に支障をきたすことはない。
  • 忘れていることを気づいていて、思い出そうとする。
  • 新しいことを覚えられる。
  • 性格や人格等に変化はない。
<脳血管疾患(脳卒中)>
脳血管疾患の多くは突然発症し、命に係わることも多く、また一命を取り留めた場合で片麻痺や言語障害等、様々な後遺症が残ることが多いです。
発症後に寝たきりになる人も少なくありません。主な脳卒中の種類は以下3つに分けられます。

  • 脳梗塞:脳の血管の一部に血液の塊である血栓が詰まって起こる
  • 脳出血:脳内の血管が破れて出血が起こる
  • くも膜下出血:脳表面にある動脈の一部が破れ、中枢神経系を覆う髄膜とくも膜の間の「クモ膜下腔」に出血が生じる
<誤嚥性肺炎>
食べ物や飲み物、唾液などが誤って気管に入ることを「誤嚥」と言い、その結果生じる肺炎が誤嚥性肺炎になります。
誤嚥性肺炎は高齢者に多くみられ、その原因として以下の理由が挙げられています。

  • 口腔内の細菌の増加
    口の中が清潔に保てないと細菌が増えやすくなり、細菌が気管を通って肺に侵入し、肺炎を発症するリスクを高めます。
  • 加齢による免疫力の低下
    免疫力が低下することで細菌に勝てなくなり、発症に影響を与えます。
  • 気管や喉に詰まったものを吐き出す力の低下
    吐き出す力が低下すると反射的にむせて排出する機能が鈍り、うまく排出できないことで肺炎を起こすことがあります。
● 誤嚥性肺炎の一般的な症状

熱が出る、呼吸が苦しくなる、激しい咳や濃性痰が出る、肺雑音がする等

<フレイル>
フレイルとは、「Frailty(虚弱)」を意味し、加齢により心身が衰えた状態のことです。
健康な状態から要介護の状態へと移行する途中段階だと考えられ、早期介入、治療や予防対策などを行えば、要介護状態にならずに済む場合もあります。
フレイルが進行すると、日常生活に支障を来たすだけでなく、様々な合併症を引き起こす危険もあるので、早めに治療や予防を行うことが大切です。
● フレイルの診断基準

  • 体重を減らそうとしていないのに、年間4.5~5kg以上も減少する
  • 何をするのも面倒だと感じる日が週に3~4日以上ある
  • 歩く速さが遅くなる
  • 握力が弱くなる
  • 体を動かす機会が減り、身体活動量が低下している

上記5項目のうち、3項目以上あてはまる場合はフレイル、
1~2項目であればフレイルの前段階であるプレフレイル状態であると判断します。

各症状に対する予防ケアー機能訓練の重要性―

<認知症>
確実な予防法はありませんが、適度な運動生活習慣病の予防が認知症予防にも繋がると考えられます。
また、認知症予防プログラムとして実施されている「回想法」で記憶を呼び起こすことで、認知症の進行が緩やかになるとも考えられています。
<脳血管疾患>
脳卒中の原因は、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が大きく影響しており、お酒の飲みすぎや塩分の取りすぎといった生活習慣が関わっています。
そのため、食生活において、以下の点に気をつけましょう。

適正エネルギーの摂取、3食しっかり摂る、腹八分目にする、
塩分やアルコールを控える、野菜や果物を摂取する、こまめな水分補給

<誤嚥性肺炎>
  • 咀嚼力(噛む力)・嚥下力(飲み込む力)・呼吸(吐き出す力)を鍛える
    口腔機能を高める必要があり、口腔体操や口腔機能訓練を行うが予防に繋がります
  • 口の中を清潔に保つ
    口腔清掃を行うことで細菌を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを低減させます。
<フレイル>
  • 食事の栄養バランスを見直す
    筋肉のもととなるたんぱく質をしっかり摂り、筋肉量の維持、体重の維持に繋げる
  • 適度な運動を行う
    ウォーキング等の有酸素運動を行うことで、筋力の低下を防ぐ。
  • 社会参加の機会を増やす
    趣味や地域の集まりに参加することで精神を健康に保ち、身体活動量を上げる。

各症状に対する予防ケアからもわかる通り、食生活や生活習慣の見直しのほか、筋力量の維持や身体活動量の向上に繋げるにあたり、機能訓練で行う運動は効果的であると言えます。
また、口腔機能向上加算による口腔清掃を含めた口腔機能訓練を行うことは、誤嚥性肺炎の予防の一環になります。
これらの高齢者に多い病気に対する予防の観点から、デイサービスで行う機能訓練は重要です。

参考:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況(介護の状況)」
公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット(高齢者の病気)」


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