2024(令和6)年度介護報酬改定において、総合事業(介護予防)にも変更がありました。通所リハビリテーションだけでなく、通所介護においても運動器機能向上加算が基本報酬に包括化され、廃止となります。
本記事では、主に廃止となる加算と対応について解説いたします。
※総合事業は、自治体によって内容が異なる場合があります。詳細は各自治体にご確認ください。
総合事業(国基準:A6)で廃止になる加算
今回の2024(令和6)年度介護報酬改定において、総合事業で廃止となる加算があります。以下の3つです。
・運動器機能向上加算(基本報酬に包括化)
・事業所評価加算
・選択的サービス複数実施加算(→一体的サービス提供加算に変更)
なお、上記内容は国基準サービス(サービスコード:A6)でのものとなります。緩和型サービス(サービスコード:A7)の場合は異なる場合がありますので、自治体にご確認ください。
運動器機能向上加算とは
運動器機能向上加算は、生活機能の低下や要介護状態になる恐れがあり、運動器の機能向上が必要と考えられる者(要支援者)を対象とした介護予防サービスを提供した場合に算定できる加算です。
運動器機能向上計画を作成し、訓練を提供する必要があります。
単位数:225単位/月
※単位数は自治体によって異なる場合があります
事業所評価加算とは
評価対象期間において、利用者の要支援状態の維持・改善の割合が一定以上となった場合に算定できる加算です。
単位数:120単位/月
選択的サービス複数実施加算とは
運動器機能向上サービス、栄養改善サービス、口腔機能向上サービスのうち複数のサービスを実施した場合に算定できる加算です。
3つのうち2つ実施していると(Ⅰ)、3つとも実施していると(Ⅱ)が算定できます。
単位数:
選択的サービス複数実施加算(Ⅰ):480単位/月
選択的サービス複数実施加算(Ⅱ):700単位/月
選択的サービス複数実施加算と一体的サービス提供加算の違い
運動機機能向上加算の廃止に伴い、選択的サービス複数実施加算は一体的サービス提供加算に変更になります。
一体的サービス提供加算は、栄養改善サービス及び口腔機能向上サービスをいずれも実施した場合、算定が可能になります。
単位数:480単位/月
栄養改善サービスとは
栄養改善サービスは、栄養改善加算を算定する際に提供するサービスとなります。
栄養改善加算の算定には、「管理栄養士」との連携が必要となっています。
一体的サービス提供加算においても管理栄養士の配置が必要となりますため、多くの事業所では算定が難しい加算です。
関連記事:◆よくわかる栄養改善加算
運動器機能向上サービスについて
基本報酬へ包括評価となったあとの運動器機能向上サービスについては、以下の通り定められています。
◎運動器機能向上サービスとは
- 利用者の運動器の機能向上を目的として個別に実施される機能訓練であって、利用者の心身の状態の維持または向上に資すると認められるもの
- 専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師を1名以上配置
- 国内外の文献等において介護予防の観点から有効性が確認されている手法等を用いて行う
参考:厚労省「介護保険法施行規則第140条の63の2第1項第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準の制定に伴う実施上の留意事項について」
機能訓練指導員の配置は求められていますが、その他の内容については各自治体の判断によります。
◆関連記事:よくわかる運動器機能向上加算
計画書作成・体力測定について
運動器機能向上加算が基本報酬へ包括化されたことにより、計画書の作成・毎月の体力測定等についても、自治体に判断が委ねられることとなります。
既にQ&Aなどで、従来のような計画書の作成は不要と公表している自治体もあります。しかしその場合も、同様の内容を通所介護計画に含む必要があるなど、自治体によって解釈が異なります。
情報を確認し、不明点は各自治体までお問い合わせください。
基本報酬は増額
今回の介護報酬改定で、基本報酬は100~200単位程度増加しています。運動器機能向上加算が包括化されたためです。
ただし、運動機機能向上加算のマイナス分(225単位)を補えるほどの増加ではありません。
◎1か月あたりの基本報酬
要支援1 : 1672 → 1798(126単位↑)
要支援2 : 3482 → 3621(193単位↑)
※自治体によって異なる可能性があります。
廃止になった加算をとっていた場合の変動額
加算の廃止と基本報酬の増額で、売上への影響はどの程度でしょうか。
以下の場合を想定してみます。
- 運動器機能向上加算を算定(225単位/月)
- 事業所評価加算を算定(120単位/月)
- 要支援2の利用者
マイナス:345単位/月
プラス:193単位/月
⇒1人あたり152単位/月の売上減
特に要支援の利用者が多い半日型の事業所などにとっては、かなり大きなマイナスとなります。
また、今回の報酬改定で総合事業利用者も送迎減算が適用されるようになりました。
さらに、要介護の加算では、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの単位数も下がっています。
ロを算定している事業所は要介護者でも減収となり、さらに売上が下がります。
<注意>自治体によって対応が異なる
総合事業の加算の廃止については、自治体によって大きく対応が異なる場合があります。
例として、以下のようなものがあります。
・東京都狛江市は国基準(A6)も緩和型(A7)も運動器機能向上加算が廃止
参考:狛江市 介護予防・日常生活支援総合事業
・東京都渋谷区の緩和型(A7)は、激変緩和措置として、単位を下げて令和8年度まで3年間継続(225単位→120単位)
参考:渋谷区 令和6年度報酬改定資料
自治体によって対応や単位数が異なるため、指定権者の自治体の情報をご確認ください。
売上減への対応について
売上減少に対する対策としては、以下のようなものがあります。
- 利用者を増やす、利用回数を増やす
- 利用者の要介護度を上げる
- 新たな加算を算定する
利用者や利用回数を増やすことは、長期的な営業活動が必要です。
また、利用者の要介護度を上げることもすぐに実行することは難しく、長期的に行っていく必要があります。
即効性のあるものとしては、新たな加算を算定する方法があります。
機能訓練加算、LIFE関連加算など、まだ算定していない加算がある場合は、新しい加算の算定を検討してみましょう。
算定おすすめ加算:口腔機能向上加算
デイサービス加算の中でも特におすすめなのが、「口腔機能向上加算」です。
- 看護職員で算定可能
- オペレーションに組み込みやすい
- 1回につき150単位(LIFE活用の場合は160単位)で収益増加に即効性がある
※要支援は月に1回、要介護は月に2回まで算定可能
詳細はこちら:◆よくわかる口腔機能向上加算(Ⅰ)
口腔機能向上加算は、その名前から専門的なイメージが強く、算定難易度が高い加算と思われがちです。実際に算定率は2023年の数字で14%程度にとどまっています。
しかし、看護職員で算定できることや、個別機能訓練加算のように小集団での訓練実施は必須でないことから、比較的算定しやすい加算となっています。
加えて、口腔状況の維持・改善は健康寿命の延伸にもつながることから、算定を検討する事業所が増えています。
口腔機能向上加算の算定には介護ソフトの活用を
口腔機能向上加算は、それほど難易度の高い加算ではありませんが、看護職員での算定となると訓練の作成が難しい場合があります。
その場合は、加算算定に活用できる介護ソフトを利用するのがおすすめです。
専門職がいる場合でも、帳票の作成効率化や管理の観点から、ソフトを利用するほうがよいでしょう。
機能訓練加算算定支援ツール「ACE」なら、ユーザーの多くが「看護職員」で口腔機能向上加算を算定中です。不慣れな職員でも安心して機能訓練を実施できます。
収益を安定させるために
総合事業での加算廃止による収益減少は、要支援者の多い事業所では避けられません。
利用者を増やす、利用回数を増やす、新たな加算を検討する・・方法は複数ありますが、どれか一つのみおこなうのではなく、複数の対策を取って収益減少に備える必要があります。
加算の算定では、介護ソフトも活用しながらおこなっていくのがおすすめです。
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