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【よくわかる2021年報酬改定】通所介護の個別機能訓練加算
【通所介護・デイサービス】※2021年1月時点
令和3年度報酬改定では、個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を統合し、内容は現行の個別機能訓練加算(Ⅱ)に寄ったものとなり、事実上(Ⅰ)が廃止される形です。また「CHASE」への情報提供に関しても加算を設けるということで改定が進んでいます。
本ページでは、デイサービスにおける個別機能訓練加算の改定情報を一部抜粋して掲載しております。ご不明な点がありましたら、厚生労働省ホームページをご確認ください。
1.現在の各個別機能訓練加算の相違要件
2.算定率・算定しない理由と見直しの方向性①
3.現在の(Ⅰ)・(Ⅱ)両方算定している場合の課題と見直しの方向性②
4.令和3年度報酬改定(2021年4月施行) 進捗情報 (2021年1月27日更新)
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◆ 個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いを指導事例含めてご紹介(※2020年時点)
個別機能訓練加算(Ⅰ) <46単位/日> |
●常勤・専従の機能訓練指導員を1名以上配置(サービス提供時間帯の配置) ●訓練項目:身体機能向上を目的とする複数種類の機能訓練項目 ●訓練対象者:人数制限なし ●訓練実施者:制限なし(機能訓練指導員の管理の下に別の従事者が実施した場合でも算定可) 関連記事:よくわかる個別機能訓練加算Ⅰ |
個別機能訓練加算(Ⅱ) <56単位/日> |
●専従の機能訓練指導員を1名以上配置(配置時間の定めなし) ●訓練項目:生活機能向上を目的とする機能訓練項目 ●訓練対象者:5人程度以下の小集団又は個別 ●訓練実施者:機能訓練指導員が直接実施 関連記事:よくわかる個別機能訓練加算Ⅱ |
※機能訓練指導員が2名以上配置されていれば、同一日に同一の利用者に対して両加算を算定することも可能。
<(Ⅰ)(Ⅱ)併算定しない理由>
現在の個別機能訓練加算(Ⅰ)・(Ⅱ)両方を算定している事業所は、大型規模43.5%、通常規模型17.3%、地域密着型10.4%と算定率は規模の小さい事業所ほど低い傾向となっています。算定しない理由として、「機能訓練指導員を常勤又は専従により配置することが難しいため」が半分以上を占めており、機能訓練指導員の確保がネックになっている実状です。
<見直しの方向性①>
算定しない理由が「機能訓練指導員を常勤又は専従により配置することが難しい」が半分以上占めていることから分かるように、小規模の通所介護から機能訓練指導員の配置が困難で緩和してほしいとの声が挙がっています。そこでまず、要件に対して人員配置の緩和が検討されており、年内にアウトラインを決める方向で進んでいます。
<課題>
個別機能訓練加算(Ⅰ)・(Ⅱ)両方算定している事業所では、利用者の機能訓練内容を見てみると訓練の内容にほとんど差がなく、個別機能訓練加算Ⅱを算定している場合でも生活機能に関する訓練がほとんど実施されていない現状です。個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の訓練内容の線引きが曖昧になっているのが覗えます。
<見直しの方向性②>
個別機能訓練加算を両方算定している事業所での機能訓練の実施状況を鑑みて、機能訓練項目の見直し(訓練内容の再整理)が検討されています。そこで、個別機能訓練加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の線引きが曖昧であり、一本化すべきではという意見もあります。こちらの具体策についても、年内に大枠が決まる予定となっています。
※以下2021年1月18日時点
現行の加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を統合し、要件等は現行の(Ⅱ)に近い内容で<個別機能訓練加算(Ⅰ)・イ>とし、現在(Ⅰ)と(Ⅱ)を併算定している事業所を考慮し、人員配置に上位区分を設ける形で、さらに<個別機能訓練加算(Ⅰ)・ロ>を新設する方針です。また新たに「CHASE」(科学的介護データベース)へのデータ提出を行うことに対して上乗せ算定する<個別機能訓練加算(Ⅱ)>を新設する内容で改定が進んでいます。
事実上、現行の(Ⅰ)が廃止され、現行の(Ⅱ)はそのまま、現在(Ⅰ)(Ⅱ)の併算定している場合は単位数が下がる(-17単位)形です。
<現行> | <改定後> ※現行の(Ⅰ)と(Ⅱ)統合 |
●個別機能訓練加算(Ⅰ):46単位/日 ●個別機能訓練加算(Ⅱ):56単位/日 |
●個別機能訓練加算(Ⅰ)・イ:56単位/日 ●個別機能訓練加算(Ⅰ)・ロ:85単位/日 (現行の(Ⅰ)(Ⅱ)を併算定している場合) |
以下、現在発表されている<改正後>の個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定要件の内容になります。
<改定後>個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定要件 | ||||
ニーズ把握・情報収集 | 通所介護・地域密着型通所介護事業所の機能訓練指導員等が、利用者の居宅を訪問し、ニーズを把握するとともに、居宅での生活状況を確認。 | |||
機能訓練指導員の配置 | (Ⅰ)・イ | 専従1名以上配置 (配置時間の定めなし) |
(Ⅰ)・ロ | イに加えて、専従1名以上配置 (サービス提供時間帯の配置) |
※人員欠如減算・定員超過減算を算定している場合は、個別機能訓練加算を算定しない。 ※イは、運営基準上配置を求めている機能訓練指導員により満たすこととして差し支えない。 ※ロは、イに加えて専従で1名以上配置すること。 |
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計画作成 | 居宅訪問で把握したニーズと居宅での生活状況を参考に、多職種共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成。 | |||
機能訓練項目 | 利用者の心身の状況に応じて、身体機能及び生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定。訓練項目は複数種類準備し、その選択に当たっては利用者の生活意欲が増進されるよう利用者を援助する。 | |||
訓練の対象者 | 5人程度以下の小集団又は個別 ※現行(Ⅱ)に準ずる |
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訓練の実施者 | 機能訓練指導員が直接実施 (※介護職員等が訓練の補助を行うことは妨げない) ※現行(Ⅱ)に準ずる |
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進捗状況の評価 | 3ヶ月に1回以上実施し、利用者の居宅を訪問した上で、居宅での生活状況を確認するとともに、当該利用者又はその家族に対して個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、必要に応じて個別機能訓練計画の見直し等を行う。 |
<改定後> 【新設】個別機能訓練加算(Ⅱ) 20単位/月 |
加算(Ⅰ)に加えて、個別機能訓練計画等の内容を厚生労働省に提出し、フィードバックを受けていること。(「CHASE」へのデータ提出とフィードバックの活用)※データの提出方法等は、現在(2021年1月18日時点)発表されていません。 ※令和3年度から「CHASE」と「VISIT]の一体運用するにあたり、科学的介護情報システム「LIFE」に名称を統一する予定。 |
《改定による、現在算定中の加算の見直しに向けた対策》 |
●現行の個別機能訓練加算(Ⅰ)のみを算定中の場合 |
改定後の<個別機能訓練加算(Ⅰ)・イやロ>の算定を検討することになった際、現行の個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件を満たす形に訓練提供のオペレーションを変更する必要があります。また、新設される<個別機能訓練加算(Ⅱ)>の算定を検討することが求められてきます。 |
●現行の個別機能訓練加算(Ⅰ)(Ⅱ)を併算定中の場合 |
改定後は単位数が17単位下がる形になります。単位数を補うために、まず新設の<個別機能訓練加算(Ⅱ)>算定は検討することが予想されます。そこで、個別機能訓練加算と人員配置を変えずに算定できる“口腔機能向上加算”を新たに算定することも一案です。 |
また今後、報酬改定情報が公開され次第、随時更新致します。
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個別機能訓練加算の算定や既に算定していても業務に不安があり改善したいという方、また口腔機能向上加算の算定を検討されている方は、是非一度お問合せより資料をご請求頂き、今後の加算算定業務の参考としてご活用下さい。また、実際にシステムをご覧頂ける無料のデモンストレーションも承っておりますで、よろしければ下記よりお問い合わせ下さい。
参考:厚生労働省ホームページ(第188回社会保障審議会介護給付分科会/資料1・第199回社会保障審議会介護給付分科会/資料1)