デイサービスにおける実地指導の傾向と対策

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【通所介護・デイサービス】※令和3年度対応版

「サービスの質の確保」「保険給付の適正化」等を図ること目的として実施される介護保険サービスの指導監査について、本ページでは、デイサービスにおける「実地指導」を事例含めご紹介します。ぜひ参考にしてみて下さい。

【目次】
1.実地指導とは
2.実地指導の流れ
3.実地指導の留意点
4.指導・返還事例                                                                                                      
1.「実地指導」とは
介護保険サービス事業所に対する指導監査は、「サービスの質の確保」及び「保険給付の適正化」を図ることを目的として実施するサービスと介護報酬の請求に関する行政指導になります。大きく分けて以下類型があり、その一つが「実地指導」です。
<指導監査の類型>
◎ 集団指導

介護保険法の趣旨や目的の理解、介護報酬の不正請求防止等のため、保険制度の改正内容や報酬の算定方法、問題事例等について、事業者を一定の場所に集め講習形式により周知徹底を行います。


◎ 実地指導

基準条例や報酬告示等を満たしているかどうか、行政の職員が事業所に赴き、利用者に関する書類等をもとに指導を行います。サービスの質の向上を目的に運営上の指導を行う「運営指導」と、不正請求の防止等を目的に行う「報酬請求指導」に分かれています。


◎ 監査

各種情報(利用者・家族からの通報、内部告発、国保連や地域包括支援センターに寄せられる苦情等)により、著しい基準違反及び報酬の不正請求が疑われた場合等に当該違反等の事実確認のために実施。事前通知はなく、以下のような行政処分が行われます。

  • 報告等
    指定基準違反に至らない場合でも改善の必要がある場合、事業所から文書による改善報告が求める。
  • 改善勧告
    指定基準違反の事実があり改善の可能性がある場合、改善勧告の対象となった指定基準違反項目が明示し、改善までの期限が設定して行う。
  • 改善命令
    改善勧告で指定基準違反の改善がなされない場合、改善命令が行われる。
  • 指定の効力停止
    改善命令に従わない場合、相当の期間を定めて指定の全部または一部の効力が停止を行う。
  • 指定取消
    改善勧告、改善命令、指定の効力の停止の措置を行っても改善されない場合、引き続き指定を行うことが制度上看過できない場合に指定の取り消しが行われる。
<「実地指導」運用指針の概要>
2019年5月29日に厚生労働省が発表しました「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について」により確認項目を標準化することで効率的な実地指導の実施、従来1日作業であった実地指導を半日に短縮し、1日に複数件の実地指導を行い、指定有効期間内に実地指導を行うことを実現できることを目的に運用指針が以下内容になりました。


  • 項目の設定
    原則として「標準確認項目」以外の項目の確認は行わず、「標準確認文書」以外の文書は求めない。
  • 所要時間の短縮
    標準確認項目を踏まえて実地指導を行うことで、一事業所あたりの所要時間の短縮を図る。
  • 頻度
    事業所の指定有効期間(6年)内に1回実施することを基本とし、過去の実地指導等において問題がないと認められる事業所は集団指導のみとすることも可能とする。
  • 同一所在地等の同時実施
    同一所在地や近隣の事業所に対しては、できるだけ同日または連続した日程で行う。
  • 関連する法律に基づく指導、監査の同時実施
    老人福祉等介護保険法に基づく指導・監査等との合同実施については、自治体の担当部門間で調整を行い、同日または連続した日程で行うことを一層推進する。
  • 運用の標準化
    実施の通知は、原則1ヵ月前までに通知するとともに、当日の概ねの流れをあらかじめ示すものとする。利用者の記録等の確認は原則3名以内とする。
  • 文書の効率的活用
    確認する文書は原則、実地指導の前年度から直近の実勢に係る書類とする。事前または当日に提出を求める資料の部数は1部とし、自治体が既に保有している文書の再提出は不要。
 
2.実地指導の流れ
実地指導は実施前に事前通知が届き、頻度や指導を行う事業所の選定には以下のような基準があります。
<指導先の選定>
多くの役所では、最初の実地指導は事業所番号を交付してから1年程経ったタイミングで実施しています。その後は指定更新前後の5~6年に1回というペースが通常の定期的な実施頻度になっています。指導を行う事業所の選定基準には以下が挙げられます。

  • 苦情、告発等が頻繁に役所に届く
  • 実地指導が1回も行われていない
  • 書面指導等の結果が不適切である
  • 介護給付適正化システムで問題視された場合
  • 集団指導等に一切参加していない
  • 外部との接触を避ける事業所
<事前通知>
通常、実施日の1ヵ月前から遅くとも2週間前を目安に事業所へ通知書が郵送されます。告発やクレームに虐待等の内容が含まれている場合は数日前を実施日として通知、また事前通知なしの無予告指導も行われます。


◆ 通知書の記載項目
① 実地指導の根拠規定と目的 ② 実地指導の日時・場所
③ 役所の担当者 ④ 事業所の出席者 ⑤ 準備すべき書類等(事前提出書類、当日準備物等)

◆ 指導日1~2週間前までに提出が求められる書類
① 自己点検表 ② 各種加算等の自己点検シート ③ 事前提出書類など
事前提出書類:勤務実績表(必須)、運営規程、重要事項説明書、契約書の様式

<実地指導当日の流れ>
実地指導当日は以下の流れで実施されます。


1. 事業所内の視察
ex.) 入口付近にポンプ式の消毒液等が設置されているか、サービス提供スペースに業務以外の備品が置かれていないか

2. 重要事項説明書の設置の確認
ex.) ファイルにとじる、相談室に置く、見やすい場所に貼ることも可能

3. 個人情報に関わる書類の保管状況の確認
ex.) 個人ファイルなどは鍵のかかるロッカーに保管、マイナンバーに関するものは金庫などで注意して保管

4. 衛生管理の状況の確認
ex.) お手洗いには使い捨ての紙タオルを設置、リネン庫は清潔なリネン以外保管不可

5. 防災対策の確認
ex.) 避難訓練の実施状況と防災マニュアルの確認、段差にスロープの設置、防災カーテン、消火器の設置など

6. 許認可時との変更の確認
ex.) 許認可申請時の図面と用途が変わっていないか、図面に変更がある場合変更届は提出されているか

7. 個別項目の確認の開始

<実地指導後>
実地指導後、数週間で実地指導結果報告書が郵送されます。実地指導の指導項目、改善項目、その理由を記載。

実地指導結果報告書により改善を求める事項があった事業者は通常、報告書受領後1ヵ月以内に改善の報告を行います。
介護報酬に関する事項は自主返還になります。

実地指導担当者から改善状況が認められた時点で実地指導は終了です。

 
3.実地指導の留意点

実地指導の際に気をつけておくべき事項をご紹介いたします。

◆ デイサービスで指摘の多い項目
以下項目は通所介護の実地指導で多く見受けられる指導事例になりますので、注意しましょう。                              

  • 通所介護計画がケアプランに沿っていない
  • 加算の算定要件の不備
  • 人員基準(職員の配置)
  • サービス提供記録の不備
  • 個人情報の取扱い
  • 防災訓練の実施 など

◆ 地域差(ローカルルール)

各加算等で設けられている職員の配置基準には、地域によって異なるローカルルールが多く存在し、役所都合による基準変更も多いため、配置基準については管轄の行政に事前に確認を取っておきましょう。


◆ 記録の重要性

サービス提供記録、機能訓練記録など、デイサービスにおいてさまざまな記録を作成する必要があります。基本「計画」によって実施、「記録」によって確認・報告される流れですが、「記録」がないとサービス提供の事実が確認できないとして認められません。また、記録書類の保管義務があり、請求に関わるものは時効が5年なので、最低5年間は記録書類等の保管を行いましょう。

 

4.指導・返還事例
◎ 人員欠如による返還事例 <群馬県の例>
通所介護事業所は看護職員を提供日ごとに配置しなければなりませんが、看護職員の基準不足(人員基準欠如)により3割減算となり返還した事例がありました。

必要員数に対して、① 1割超で不足した場合:翌月から減算
② 1割以内で不足の場合:翌々月から減算(翌月末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く)

◎ 個別機能訓練加算の算定要件の不備に対する指導事例 <高知県の例>
機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問した記録が明確でない。

個別機能訓練加算は、機能訓練指導員等が3か月に1回以上利用者の居宅を訪問することが要件であります。
3ヵ月に1回の居宅訪問は行っていたが、その記録をしていない月があり、訪問したことを明確に記録するよう指導がありました。

◎ 非常災害対策の指導事例 <北海道旭川市の例>
避難訓練及び消火訓練を実施していなかった。

防火管理について消防計画が策定されていなかったため、防火管理者等を定め非常災害に対する具体的な計画を立案し、非常災害時の通報及び避難・消火訓練を定期的に実施してください。

 

参考:株式会社QOLサービス「デイの経営と運営vol.18」,株式会社翔泳社・小濱道博著「これならわかる<スッキリ図解>実地指導2021-23年度介護報酬対応版」,厚生労働省「介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について(介護保険最新情報vol.730)」,足立区介護保険課「令和元年 通所介護事業者 集団指導」,厚生労働省事務連絡「介護保険施設等実地指導マニュアル(H22.3月改訂版)」,厚生労働省事務連絡「同・別冊(第1.関係法令等)」,群馬県監査指導課監査指導第二係「通所介護の実地指導等における留意点について」,高知県地域福祉部福祉指導課「集団指導資料【通所介護】」,旭川市「実地指導における指導事項について(福祉保健部指導監査課作成)」


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