高齢者にとっての口腔機能<自立支援・重度化防止>

口腔機能向上加算

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【通所介護・デイサービス】

厚生労働省は2021年度介護報酬改定において、口腔ケアは健康寿命の延伸やQOLの向上を図るうえで重要と掲げており、高齢者の口腔機能の低下を問題視しています。
そこで、本ページでは高齢者にとっての口腔機能の重要性や口腔ケアについてのポイントや方法をご紹介します。ぜひ参考にしてみて下さい。

口腔機能の役割

口腔機能とは、「噛み砕く(咀嚼)・飲み込む(嚥下)・吐き出す(呼吸)」「唾液を分泌する」「言葉を発する(発音)」「感情を表す(表情)」等に関わり、大きく分けると、「食べる」「話す」ことに関わる機能です。

そこで、口腔機能は食事やコミュニケーションに関わる重要な役割を果たします。口腔機能が低下すると、食事から十分な栄養が取りにくくなり、体力や免疫力の低下、感染症や病気などにかかりやすくなります。また、食事や会話に支障が出ると、人付き合いも億劫になり、身体的にも精神的にも不活発に状態になり、体力とともに脳も衰え、寝たきりや認知症の原因になると言われています。そのため、口腔機能は高齢者の健康維持において非常に重要であるとされています。

口腔ケアの目的と効果

口腔ケアには大きく分けて、口腔の「清掃を中心とするケア」「機能訓練を中心とするケア」の2つがあります。
その目的は「口腔内を清潔に保つこと」「口腔機能を維持向上すること」です。

高齢者にとっての口腔ケアを行う主な目的としては、高齢者の死因として多い「誤嚥性肺炎」や「口腔内の乾燥」を予防すること、老化や障害等による「口腔機能の低下を予防改善する」ことです。
そのため、心身ともに健康的な生活を送るための予防の観点からみて、適切な口腔ケアを行うことが必要となります。

口腔ケアを行うことで以下のような効果が期待されます。

  • 唾液の分泌の促進 ⇒ 口腔内の乾燥の予防
  • 咀嚼力・嚥下力・吐き出す力(呼吸)の向上、口腔内の細菌減少 ⇒ 誤嚥性肺炎の予防
  • 口臭の予防
  • 虫歯・歯周病の予防

口腔ケアをおこなう際のポイント

口腔ケアを行う際は、以下5つのポイントに気をつけて実施しましょう。

①口腔内をチェックする
要介護の状態が長期間続くと口腔内が放置されているケースも多いため、まず口腔状態の確認を行います。
痛みがあればケアを避けるので、以下チェックポイントに当てはまるものがあれば、歯科医師や歯科衛生士に相談して下さい。

✅ 歯や歯茎が痛い、口の中で血が出ることがある
✅ 歯の噛み合わせが悪い
✅ 食事中に入れ歯が外れたり落ちたりする
✅ 入れ歯の金属部分のバネが欠けている、壊れている
✅ 食後に入れ歯に汚れがべったり付いている

②介助は最小限にとどめる
障害の程度等によってどの部分を介助すべきか考えます。
筋肉の衰えの予防や麻痺の改善のために自助具や清掃具を活用しながらもできるだけ本人の残っている能力を生かすことが大切です。
ただし、仕上げは介護者が手伝って行いましょう。
③誤嚥に注意する
既に寝たきり状態で嚥下機能が低下している場合は、顔を横に向け、枕を使って下あごを引き、水分が気管に入らないように注意して下さい。
水分の使用はできるだけ控え、すぐにふき取れるよう綿棒やカット綿等を用意しておくと良いです。
麻痺がある場合は、麻痺した側を上に健常な側を下にします。
④口腔内の乾燥に注意する
加齢による分泌能力の低下や服用薬の影響で口が乾きやすくなります。
その結果、唾液の抗菌作用や洗浄作用も低下し、口腔内が不潔となり感染しやすくなりますので、唾液腺等のマッサージや口腔機能訓練を行い、唾液の分泌を促しましょう。


<唾液腺マッサージ>

  • 耳下腺への刺激
    人差し指から小指までの4本の指を頬にあて、上の奥歯あたりを後ろから前へ向かって回す。(10回)
  • 顎下腺への刺激
    親指を顎の骨の内側の柔らかい部分にあて、耳の下から顎の下まで5カ所くらいを順番に押す。(各5回)
  • 舌下腺への刺激
    両手の親指をそろえ、顎の真下から(各5回ずつ)手を突き上げるようにグーッっと押す。(10回)
⑤便利なケア用品を活用する
本人の負担をできるだけ軽減するため、短時間で効率よく行うことがポイントになります。
そこで、歯ブラシの他に、スポンジブラシや歯間ブラシ・舌ブラシ等の清掃補助具をうまく活用しましょう。

(続き) 各口腔ケアの方法・ポイントはこちら

参考:厚生労働省「e-ヘルスネット[情報提供]」
厚生労働省「介護予防マニュアル(第5章 口腔機能向上マニュアル)」


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