11月26日から、2024年度介護報酬改定に対応したLIFEの事業所フィードバック掲載が開始されました。
LIFE関連加算においては、「フィードバックを活用し、計画書や機能訓練などの見直し、サービスの質の管理を行うこと(PDCAサイクルの運用)」が算定要件に入っているため、フィードバックの活用は必須です。
しかしながら、新LIFEからLIFEシステムの利用を始めた場合、フィードバックの活用方法がわからない方もいらっしゃるかと思います。
旧LIFEから利用されている方からも、フィードバック活用方法が難しいというお声を聞くことも。
そこで本記事では、LIFEフィードバックの活用について参考となる情報をまとめてご紹介します。
LIFEとは
LIFEとは、厚生労働省が管理・運営する情報システム・データベースです。2021年報酬改定で新設されました。
このLIFEが2024年度報酬改定で新しくなり、新しくなったものを「新LIFE」、従前のものを「旧LIFE」と呼ぶこともあります。
◆さらに詳しく知りたい方はこちら
LIFEは何が変わる?よくわかる新LIFEシステム
よくわかる科学的介護情報システム「LIFE」
2024年度報酬改定対応の事業所フィードバックは11/26から
2024年度介護報酬改定対応の事業所フィードバックは、2024年11月26日から掲載が始まっています。
通所介護・通所リハビリにかかわる加算についてのフィードバックは、以下の通りです。
2024年11月26日掲載開始(事業所フィードバック)
- 科学的介護推進体制加算
- ADL維持等加算
- 個別機能訓練加算(Ⅱ)
- 栄養アセスメント加算
- 口腔機能向上加算(Ⅱ)、(Ⅱ)イ・ロ
2024年12月以降掲載開始(事業所フィードバック)
- リハビリテーションマネジメント加算(ロ)(ハ)
利用者フィードバックは、2025年1月以降に掲載が開始される予定です。
参考:厚労省「科学的介護情報システム(LIFE)の令和6年度報酬改定に対応したフィードバックの掲載開始について」
LIFEフィードバックについて
ここからは「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き」の内容を中心に、フィードバック活用についてまとめます。
◎「LIFE利活用の手引き」のダウンロード
LIFE Webサイト>操作マニュアル・よくあるご質問等>最下部の「LIFEの利活用方法の手引き」>「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き(本編)」
フィードバック活用の目的
LIFEのフィードバックは、「ケアを継続的に改善し、質を向上していく」ために活用します。
利用者の意向をふまえて設定した目標や過ごし方の希望などに対して、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)を繰り返す「PDCAサイクル」を運用します。
「Check(評価)」において、LIFEフィードバックを材料の一つとすることができます。
自分たちの提供しているケアの結果がどのように表れているか、効果が出ているかの確認のために利用します。
フィードバックの種類
LIFEフィードバックは、以下の2種類があります。
①事業所フィードバック
自施設・事業所の利用者の状態の変化や、全国の同じサービスの介護施設・事業所における相対的な位置について、図やグラフで表示
②利用者フィードバック(2025年1月以降~)
各利用者について、状態の変化が表示
過去のデータとの比較表示もできるため、全国平均との比較だけでなく、事業所内での過去との比較も可能です。
フィードバック活用の流れ
活用方法について一つずつ確認していきます。
フィードバックデータの確認(Check/評価)
まずは掲載されたフィードバックデータを確認し、分析を行います。
確認すべき点は、たとえば・・・
- 全国平均と比較し、自事業所の数値はどうか(低い項目・高い項目など)
- どのような項目で変化があったか
- 変化がなかった場合でも、「取組の効果として良い状態を維持している」のか「低い数値が維持され、事業所の課題となっている」のか
職員間でフィードバックに関する気づきを共有
事業所内の職員間で、ケアプランや介護計画などとあわせてフィードバックの内容を確認し、利用者及び介護施設・事業所の現状や、これまでに実施した取組によって生じた変化について気付いたことを共有します。
サービス担当者会議などの場を利用するほか、LIFEのフィードバックが掲載されたタイミングで、データ活用のための会議を設けている事業所もあります。
取り組むべき課題の整理(Action/改善)
利用者の背景やケアプラン、介護計画等をもとに、フィードバックから把握された変化がどのような要因によって生じたのか検討します。
たとえば・・怪我や入退院などによる一時的なADLの変化はあったか?などをふまえ、検討する
また、利用者の意向やこれまでに実施した取組の効果等をふまえて、次に取り組むべき課題を整理しましょう。
改善案の作成(Plan/計画)
整理した課題をふまえて、次に目指す目標を設定し、目標を達成するための計画を立てます。
課題が事業所全体として全ての利用者に向けて取り組むべきものか、利用者個人に関わるものかも検討します。
利用者個人に関わるものである場合は、個別に計画を立てる必要があります。
フィードバックデータの活用により、利用者や事業所の状態・課題を共通認識として持つことができます。
検討した課題をふまえ、ケア・サービスの方向性を改善していくことが大切です。
計画に沿ってサービスを提供(Do/実行)
立てた計画に沿って、ケアを実施します。
それらのデータをLIFEに提出し、フィードバックを受けて、Check→Action→Plan→Do・・・と同じ流れを繰り返します。
これがPDCAサイクルです。
グラフの確認方法
LIFEフィードバックは、表やグラフで様々なデータが表示されます。
本記事では、例としてレーダーチャートの確認方法をまとめています。
◎グラフ確認時の注意点
- 項目によって、「数値が大きいほど状態が良い」場合と、「数値が小さいほど状態が良い」場合があるため、項目ごとにどちらなのかを確認
- 過去と比較して「変化がない」場合は、良い状態が維持されているのか、そうでないのかを確認
- 全国の値は、あくまでも「比較するためのひとつの目安」として確認(必ずしも日々のケアの良し悪しを判断するための基準ではない)
レーダーチャートの確認方法
引用:「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き(本編)」
上記の「図表55」は、口腔衛生管理加算もしくは口腔機能向上加算における利用者の割合を示したイメージ図です。
左図:誤嚥性肺炎の発症・既往がありの利用者
右図:誤嚥性肺炎の発症・既往がなしの利用者
このグラフの場合は、数値が小さい(グラフが小さい)ほど、各項目に該当する利用者が少なくなります。
つまり、「数値が小さいほど状態が良い」グラフです。
グラフを確認して改善案を検討
左図「誤嚥性肺炎の発症・既往あり」のグラフの「ぶくぶくうがいが困難」の項目について見てみます。
赤の点線(2024年7月)に比べ、赤の実線(2024年10月)では利用者の割合が減っています。
利用者の背景・状態・他サービスの利用状況などをふまえながら、改善した理由を検討します。
事業所で実施している口腔訓練の効果だと考えられる場合は、今後も口腔訓練を継続していく、といった計画を立てることができます。
また「歯の汚れ」の項目では、利用者の割合が全国値(青線)よりも高くなっています。
この場合、口腔清掃を重点的に実施していくという対策を考えることができるかもしれません。
※全国値はあくまで参考値であるため、そのほかの要因も考慮する必要があります。
参考資料
具体的な分析・改善案検討の事例は、以下の資料に記載があります。
下記事例も参考にしながら、LIFEフィードバックの活用を進めていきましょう。
◎LIFE利活用に関する事例集
- 令和5年度 科学的介護に向けた質の向上支援等事業事例集
- 令和4年度 ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)の利活用に関する事例集
- 令和3年度 ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)の利活用に関する事例集
◎LIFE利活用の手引き
LIFE Webサイト>操作マニュアル・よくあるご質問等>最下部の「LIFEの利活用方法の手引き」>「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き(本編)」
「科学的介護情報システム(LIFE)フィードバック活用の手引き[zip]【令和3年度版】」も参考にできます。
LIFEの活用は早いうちから
データの確認や改善案の検討などは、少しずつ慣れていく必要があります。
まずは始めてみて、少しずつ実施方法をつかんでいきましょう。
LIFEの利用はいずれ必須になる可能性もあります。
今のうちからフィードバックの活用に慣れておくのがおすすめです。
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