【通所介護・デイサービス】※令和3年度改定版
団塊の世代の全てが後期高齢者になる2025年に向けて、介護職員の需要は増え続けており、人手不足が生じることが予測され、“介護人材の確保”が大きな課題に挙げられています。そうした状況の改善を目的に導入された「介護職員等特定処遇改善加算」について取得要件等をご紹介します。
介護職員等特定処遇改善加算(以下、特定処遇改善加算)は、「経験・技能のある介護職員」の処遇改善を目的として、介護職員処遇改善加算に上乗せする形で介護報酬を加算して支給する制度として2019年10月より導入されました。
「勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うこと」を基本とし、介護福祉士の資格を有することを要件としつつも、「勤続10年」の考え方は事業所の裁量で設定できます。
また、他の介護職員などの処遇改善に特定処遇改善加算の収入を充てることも可能とし、現場での業務を勘案して加算の配分については事業所の裁量で設定することを認めつつ、一定のルールが設定されています。
<配分のルール> |
<令和3年度介護報酬改定より> 引用:厚生労働省「第199回社会保障審議会介護給付費分科会/参考資料1」 |
特定処遇改善加算の取得のベースとなる「介護職員処遇改善加算」(以下、処遇改善加算)の取得率は、事業所のサービス区分と算定要件により決まります。
算定要件には、<キャリアパス要件>と<職場環境等要件>があり、満たす要件により加算Ⅰ~Ⅲに分かれています。※2021年3月末迄は加算Ⅳ・Ⅴの5段階
<キャリアパス要件> |
① 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
② 資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること ③ 経験著しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること ■ 昇給の仕組みの例 |
<職場環境等要件> |
賃金改善以外の処遇改善(職場環境の改善など)の取り組みを実施すること ※処遇改善加算を取得するにあたり、賃金改善等の処遇改善の内容等について、雇用する全ての介護職員へ周知することが必要。 <令和3年度介護報酬改定より> ◎ 職員の新規採用や定着促進に資する取組 ・ 職場環境等要件に基づく取組の実施について、当該年度における取組の実施を求めること。 |
<介護職員処遇改善加算> ※通所介護 | ||
各加算 | 取得率 | 取得要件 |
加算(Ⅰ) | 79.5% | キャリアパス要件①②③+職場環境等要件を満たす |
加算(Ⅱ) | 7.2% | キャリアパス要件①②+職場環境等要件を満たす |
加算(Ⅲ) | 5.4% | キャリアパス要件① or ②+職場環境等要件を満たす |
令和3年3月末時点で同加算を算定している場合、1年間の経過措置期間が設けられています。
<取得要件> |
※サービス提供体制加算(最も高い区分)、特定事業所加算(従事者要件のある区分)、日常生活継続支援加算、入居継続支援加算の取得状況を加味して、加算率を二段階(特定加算(Ⅰ)・特定加算(Ⅱ))に設定。 |
<取得率> | ||
サービス区分 | 特定加算(Ⅰ) | 特定加算(Ⅱ) |
通所介護・地域密着型通所介護 | 1.2% | 1.0% |
通所リハビリテーション | 2.0% | 1.7% |
認知症対応型通所介護 | 3.1% | 2.4% |
参考:厚生労働省「第169回社会保障審議会介護給付費分科会/資料1」
参考:厚生労働省「第169回社会保障審議会介護給付費分科会/資料1・介護人材の処遇改善について」「2019年度介護報酬改定について~介護職員の更なる処遇改善~」「介護職員処遇改善加算のご案内」「第199回社会保障審議会介護給付費分科会/参考資料1」